「手に職をつけたいけれど、40代から職業訓練を受けて本当に就職できるのか」。そう迷って調べ始めると、「40代の職業訓練は無駄」という意見も目に入り、かえって判断しにくくなります。結論からお伝えすると、40代でも職業訓練は再就職の手段として十分に使えます。厚生労働省の集計では、公共職業訓練(施設内訓練)の就職率は85.7%です。ただし、分野によって就職率や求人の多さには大きな差があり、結果を分けるのは年齢よりもコースの選び方です。

この記事では、厚生労働省の統計と公式情報をもとに、40代男性が就職につながる職業訓練を選ぶための判断材料を整理します。

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※本記事の数値・制度は2026年10月時点で各公式サイトを確認した内容です。最新情報は必ず各公式サイトでご確認ください。

1.40代でも職業訓練は再就職の手段として使える

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職業訓練(ハロートレーニング)は、仕事を探している人が原則無料で職業スキルを学べる公的な制度です。まずは制度の種類と、実際にどのくらいの人が就職しているかを確認しましょう。

(1)職業訓練(ハロートレーニング)の種類と就職率

ハロートレーニングには、主に雇用保険を受給している人が対象の「公共職業訓練」と雇用保険を受給できない人が対象の「求職者支援訓練」の2種類があります。どちらも、住所地を管轄するハローワークで相談してから申し込みます。

項目公共職業訓練(離職者訓練)求職者支援訓練
主な対象雇用保険を受給している離職者など雇用保険を受給できない人、受給が終わった人など
実施する機関ポリテクセンター、都道府県の職業能力開発校、委託を受けた民間の教育機関民間の訓練実施機関
受講料原則無料
(テキスト代などは自己負担。1年以上のコースは一部有料)
原則無料
(テキスト代などは自己負担)
訓練期間2か月〜2年2か月〜6か月
受講中の給付基本手当に加え、受講手当・通所手当など要件を満たせば職業訓練受講手当(月10万円)・通所手当など

※出典:神奈川労働局「ハロートレーニングとは」、厚生労働省「求職者支援制度のご案内」

厚生労働省がまとめた令和6年度の実施状況では、訓練の種類ごとの就職率は次のとおりです。

訓練の種類受講者数就職率
公共職業訓練(施設内訓練)29,353人85.7%
公共職業訓練(委託訓練)60,439人72.4%
求職者支援訓練(基礎コース)38,945人(基礎・実践の合計)60.9%
求職者支援訓練(実践コース)38,945人(基礎・実践の合計)61.7%

※令和6年度の速報値。今後変動する可能性がある

※公共職業訓練の就職率は、訓練修了から3か月後の就職状況。雇用形態別の内訳は公表されていない。求職者支援訓練は、雇用保険が適用される就職のみを集計

※出典:厚生労働省「ハロートレーニング(公的職業訓練)の実施状況(詳細版)」

施設内訓練の就職率は、令和2年度から令和6年度まで83.7〜86.7%の範囲で推移しています。毎年、受講者の8割以上が就職している計算です。

また、受講に年齢の目安が設けられているのは一部のコースに限られます。たとえばポリテクセンター関西の令和8年度のコース一覧で年齢の目安が示されているのは、企業実習が付いたインターンシップ付きコース(概ね55歳未満)のみです。

※出典:大阪ハローワーク「ポリテクセンター関西訓練コース一覧」

運営者

運営者が受講した職業訓練では、テキスト代として1.2万円程度が実費でかかりました。クラスの平均年齢は30代で、40代の男性も運営者を含めて4人ほどいました。

(2)「40代の職業訓練は無駄」と言われる理由

ネット上には「40代で職業訓練を受けても、技術を活かした就職は無理」という意見があります。この意見には、一部当たっている面があります。

募集・採用時の年齢制限は法律で原則禁止されていますが、長期勤続によるキャリア形成を目的に、職業経験を問わない正社員求人を若年者(おおむね35歳未満)に限って募集することは認められています。そのため、40代が応募できる求人は「実務経験者優遇」が中心になりがちです。

※出典:厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について Q&A」

さらに数か月の訓練で身につけたスキルだけでは、実務経験者と同じ評価にはなりません。

訓練を修了すれば未経験の職種にそのまま移れると期待していると「無駄だった」と感じやすくなります。

一方で、施設内訓練の就職率が8割台で推移しているとおり、制度として成果が出ていないわけではありません。差がつくのは、訓練の内容とこれまでの経験をつなげられるかどうかです。

たとえば製造業で働いてきた人が機械加工を学べば「現場を知っている人が加工技術も身につけた」と評価されます。

異業種への転職でも考え方は同じです。飲食店で接客や店舗運営をしてきた人が介護を学べば「相手の様子をくみ取りながら、忙しい時間帯でも段取りよく動ける人」として、業界が変わっても経験を評価されやすくなります。営業職で顧客の要望を聞き取ってきた人がCADを学べば、住宅メーカーなどで「お客さまの要望を図面に落とし込める人」として活躍できます。

40代の職業訓練が一律に無駄というわけではなく、個人としての戦略設計があるかどうか、自分の立ち位置を見つけられるかどうかで、職業訓練後のキャリアは大きく変わります。

(3)職業訓練が向いていない人

次に当てはまる場合は、職業訓練以外の方法も含めて検討しましょう。

  • 訓練期間中の生活費の見通しが立てられず、すぐに収入が必要
  • 平日の日中に毎日通うことが難しい
  • 学びたい分野や目指す職種がまだ決まっていない
  • 学びたいソフトや技術がはっきりしていて、訓練のカリキュラムと合わない

平日に通えない人や在職中の人は、夜間や土日に学べる民間のスクールが選択肢になります。目指す方向性がまだ決まっていない人は、ハローワークの職業相談や、キャリア形成・リスキリング支援センターの無料のキャリアコンサルティングで、経験の棚卸しから始めるのが現実的です。

※出典:厚生労働省「マイジョブ・カード」キャリアコンサルティング

職業訓練と民間のスクールの費用や通い方の違いは、この記事の後半で比較しています。

休職中で、復職するか転職するかを決めかねている場合は、次の記事で判断基準と使える制度を解説しています。

関連記事:「40代の休職中にキャリアを立て直す手順|復職・転職の判断基準と使える制度」

2.40代男性におすすめの職業訓練コース

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ここでは、40代男性がこれまでの経験を活かしやすい現場・技術系の分野を中心に、8つの分野を紹介します。訓練の就職率に加えて、修了後に目指す職種の有効求人倍率も並べると、分野ごとの違いがはっきり見えてきます。

分野主な訓練内容目指せる資格の例施設内訓練の就職率委託訓練の就職率目指す職種の有効求人倍率目指す職種の平均年収
電気設備・電気工事屋内配線、電気設備の施工・保守第二種電気工事士86.2%69.6%3.84倍(電気工事士)628.1万円
ビル設備管理電気・空調・給排水などの設備の点検と保守2級ボイラー技士、第三種電気主任技術者分野別の集計なし分野別の集計なし1.03倍(ビル施設管理)452.3万円
溶接・金属加工アーク溶接、板金、金属加工溶接技能者88.2%50.0%2.67倍(溶接工)454.7万円
機械加工・NC旋盤・フライス盤、NC工作機械の操作機械加工技能士82.9%62.1%3.42倍(NC工作機械オペレーター)483.9万円
CAD・建築設計2次元・3次元CADによる図面作成CAD利用技術者試験85.3%(建設関連分野)74.1%(建設関連分野)0.77倍(CADオペレーター)470.9万円
介護福祉介護の基礎知識と実技介護職員初任者研修84.9%83.4%2.96倍(施設介護員)388万円
IT・プログラミングプログラミング、ネットワーク、システム開発基本情報技術者81.6%70.0%0.98倍(プログラマー)578.5万円
経理・事務簿記、表計算、会計ソフト日商簿記2級・3級83.6%(営業・販売・事務分野)70.3%(営業・販売・事務分野)0.55倍(経理事務)512.2万円

※就職率は令和6年度の公共職業訓練(離職者訓練)の分野別の速報値(訓練修了から3か月後の就職状況)。()内は集計上の分野

※有効求人倍率は令和7年度のハローワーク求人統計(全国)。()内は対応する職種

※平均年収は、令和7年賃金構造基本統計調査をもとにしたjob tagの値。経験を積んだ人も含む平均

※出典:厚生労働省「ハロートレーニング(公的職業訓練)の実施状況(詳細版)」、厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」

表を見ると、電気・溶接・機械加工・介護は、目指す職種の有効求人倍率が2倍を超えています。求人の数が仕事を探す人の数を大きく上回っており、応募先の選択肢が多い分野です。ただし、有効求人倍率は経験者向けも含む求人全体の値です。未経験可の求人がどのくらいあるかは、住んでいる地域の求人票で確認しましょう。

反対に、経理事務(0.55倍)やプログラマー(0.98倍)は、訓練の就職率が8割台であっても、求人をめぐる競争は厳しくなります。こうした分野を選ぶ場合は、前職の経験と組み合わせて応募先を絞り込むことが欠かせません。

なお、デザイン分野は施設内訓練の就職率が64.0%と、ほかの分野より低い水準です。Webデザイナーの有効求人倍率も0.11倍で、40代未経験から就職を目指すには難易度が高い分野といえます。

また、表の平均年収は経験を積んだ人も含めた値です。未経験で入社した直後は平均を下回る給与から始まることもあるため、前職から収入がどう変わるかは、応募する求人票の給与欄で確かめておきましょう。

(1)電気設備・電気工事|有効求人倍率3.84倍で資格が仕事に直結する

電気工事は、災害を防ぐために電気工事士などの資格を持つ人でなければ行ってはならないと法令で定められています。資格そのものが仕事の入口になるため、未経験の40代でも、資格を取れば応募できる求人が大きく広がります。

項目内容
主な仕事住宅や店舗の屋内配線、電気設備の施工・保守
目指せる資格第二種電気工事士(一般家庭や商店などの屋内配線を扱える)
経験を活かしやすい前職建設現場、設備関係、製造業の設備保全
働き方の特徴2〜4人のグループ作業が基本。担当現場ごとに作業場所が変わり、高所や屋外での作業もある
訓練コースの例ポリテクセンター関西「電気設備技術科」(6か月)

※出典:兵庫県「電気工事士とは」、job tag「電気工事士」、大阪ハローワーク「ポリテクセンター関西訓練コース一覧」

(2)ビル設備管理|平均年齢47.3歳で40代後半からも働きやすい

ビル設備管理は、オフィスビルや商業施設の設備を点検し、正常に動く状態を保つ仕事です。平均年齢は47.3歳と比較した職種の中で最も高く、40代後半から未経験で入っても、年齢で浮きにくい職場といえます。有効求人倍率は1.03倍で求人と求職者の数がほぼ釣り合っているため、資格を組み合わせて応募できる求人の幅を広げるのが基本です。

項目内容
主な仕事オフィスビルや商業施設の電気・空調・給排水設備の点検と保守
目指せる資格2級ボイラー技士、第三種電気主任技術者、ビル設備管理技能士など
経験を活かしやすい前職設備の保守・点検、建設業、製造業の設備保全
働き方の特徴契約先のビルに出向いて設備の運転管理や点検を行う。24時間稼働のビルでは交替制勤務がある
訓練コースの例地域によって設置状況が異なるため、ハローワークで確認

※出典:job tag「ビル施設管理」

(3)溶接・金属加工|施設内訓練の就職率88.2%、委託訓練との差に注意

溶接・金属加工は、施設内訓練の就職率が88.2%と比較した分野の中で最も高く、溶接工の有効求人倍率も2.67倍あります。注意したいのは、委託訓練の就職率は50.0%と、施設内訓練との差が大きい点です。溶接や板金は実習設備を使った訓練が中心になるため、ポリテクセンターなどの施設内訓練から探すのが基本です。

項目内容
主な仕事製造業や建設業での金属部品・構造物の溶接、板金加工
目指せる資格溶接技能者(アーク溶接など)
経験を活かしやすい前職製造業(加工・組立)、建設現場
働き方の特徴工場内での作業のほか、建設現場の足場など高所や狭い場所での作業もある
訓練コースの例ポリテクセンター関西「メタルワーク科」(6か月、年に複数回開講)

※出典:job tag「溶接工」、大阪ハローワーク「ポリテクセンター関西訓練コース一覧」

(4)機械加工・NC|製造業の経験を活かしやすい

機械加工は、旋盤やフライス盤、NC工作機械を使って金属部品を削り出す仕事です。部品の製造や組立、検査の仕事をしてきた人は、図面の読み方や品質への意識をすでに身につけています。「製造現場の経験×加工技術」の組み合わせは、40代ならではの強みとして評価されやすくなります。

項目内容
主な仕事NC工作機械のプログラム作成と操作、金属部品の加工
目指せる資格機械加工技能士
経験を活かしやすい前職製造業(加工・組立・検査)
働き方の特徴日勤が一般的(一部の大企業は日勤・夜勤の交替制)。1人で複数の機械を受け持つことが多い
訓練コースの例ポリテクセンター関西「CAD・NC技術科」(6か月、CADとNC加工をあわせて学べる)

※出典:job tag「NC工作機械オペレーター」

(5)CAD・建築設計|求人倍率0.77倍のため前職との組み合わせが前提

CADオペレーターの平均年齢は41.5歳で、40代という年齢そのものが職場で浮く心配は小さい職種です。一方で、有効求人倍率は0.77倍と求人より求職者のほうが多く、CADの操作スキルだけでは選ばれにくい点に注意が必要です。建設業や製造業で現場を知っている人は、その知識とCADを組み合わせることで、ほかの応募者との差をつけられます。

項目内容
主な仕事2次元・3次元CADによる図面の作成・修正
目指せる資格CAD利用技術者試験
経験を活かしやすい前職建設現場・施工管理、製造業、住宅・不動産の営業
働き方の特徴設計者の指示を受けて図面を作成するデスクワーク。納期前は残業があり、在宅勤務を認める企業もある
訓練コースの例ポリテクセンター関西「CAD・NC技術科」(6か月)

※出典:job tag「CADオペレーター」

CADスクールと職業訓練の違いや、40代が就職支援を活かす方法は、次の記事で詳しく解説しています。

関連記事:「【40代】CADスクールの就職支援を比較|求人倍率0.77の現実から逆算するおすすめ校と選び方」

(6)介護福祉|委託訓練でも就職率83.4%

介護福祉分野は、施設内訓練84.9%、委託訓練83.4%と、委託訓練でも就職率が高いのが特徴です。施設介護員の有効求人倍率は2.96倍で、平均年齢は45.3歳、40代が働きやすい年齢構成です。ただし、平均年収は比較した職種の中で低い水準のため、地域の求人票で給与と勤務形態(夜勤の有無など)を確認しておきましょう。

項目内容
主な仕事介護施設での食事・入浴・移動などの介助
目指せる資格介護職員初任者研修
経験を活かしやすい前職飲食・接客、販売
働き方の特徴交替勤務や夜勤がある施設が多い。介助など体力が必要な動作が多く、看護師などとチームで進める
訓練コースの例地域のコースはハローワークで確認

※出典:job tag「施設介護員」

(7)IT・プログラミング|未経験から目指すなら経験との接続が必要

IT分野は施設内訓練の就職率が81.6%ありますが、プログラマーの有効求人倍率は0.98倍で、平均年齢は37.1歳と若い職種です。40代がIT分野を選ぶなら、若手と同じ土俵で競うのではなく、前職の業界知識とITスキルを組み合わせる方向が現実的です。働き方の面では、開発期限が迫ると夜間や休日に作業することがあり、セキュリティの都合で在宅勤務ができない現場もあります。ポリテクセンター関西のICTエンジニア科やIoTシステム開発科のように、6か月程度でネットワークやシステム開発を学べるコースもあります。

前職の経験ITスキルとの組み合わせの例
製造業生産管理や在庫管理のシステムを扱える人材
営業・販売顧客管理や業務の効率化を担う人材
建設業現場の情報共有やデータ管理を担う人材

※出典:job tag「プログラマー」、大阪ハローワーク「ポリテクセンター関西訓練コース一覧」

(8)経理・事務(簿記)|受講者数が最多で競争も激しい

営業・販売・事務分野は、公共職業訓練の受講者数が31,090人と、すべての分野の中で最も多い分野です。一方で、事務職の有効求人倍率は1倍を大きく下回っており、受講者が多いうえに求人が少ない状態です。簿記を学ぶ場合は、日商簿記2級まで取得したうえで、営業や販売で数字を扱ってきた経験と組み合わせ、営業事務や経理補助などに応募先を絞ると、40代の経験を評価してもらいやすくなります。

項目経理事務一般事務
有効求人倍率0.55倍0.29倍
平均年齢44歳44.6歳
主な資格日商簿記MOS、秘書検定など
働き方の特徴オフィス内の規則的な勤務が中心。決算期は残業が増えるオフィス内の規則的な勤務が中心。月末などの締め切り前は残業もある

※出典:job tag「経理事務」、job tag「一般事務」

3.40代男性が職業訓練のコースを選ぶときの4つの観点

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候補の分野が見えてきたら、その分野が自分に合うかを確かめます。同じ分野でも、前職の経験や住んでいる地域によって、就職のしやすさは変わります。

(1)これまでの経験とつながるか

40代の採用では、訓練で身につけたスキル以上に、それまでの経験が評価されます。前職の経験とつながる分野を選ぶと、志望動機にも一貫性が生まれます。

前職ごとにつながりやすい分野は、おすすめの職業訓練コースで紹介した各分野の表にある「経験を活かしやすい前職」で確認できます。

前職とまったく関係のない分野を選ぶ場合は、若手と同じ条件で比べられることを理解したうえで決めましょう。

職種ごとに評価されやすい経験や、応募書類での伝え方は、次の記事で詳しく解説しています。

関連記事:「40代男性が手に職をつける仕事10選|求人倍率と習得期間で選ぶ、長く続けられる技能の見つけ方」

(2)住んでいる地域に求人があるか

比較表の有効求人倍率は全国の値です。実際に応募できる求人の数は、住んでいる地域によって大きく変わります。

コースを決める前に、ハローワークインターネットサービスで、目指す職種と通える範囲の地域を指定して求人を検索しましょう。10件ほど求人票を読み、次の点を書き出すと、地域の実態が見えてきます。

  • 求人の件数と雇用形態(正社員・契約社員・派遣)
  • 「経験者優遇」「未経験可」などの条件
  • 給与水準と勤務地
  • 求められている資格

(3)取れる資格が就職で使えるか

職業訓練で目指せる資格は、大きく2種類に分けられます。

資格の種類例就職での使われ方
資格がないとできない仕事に必要な資格第二種電気工事士資格があること自体が応募の条件になる
知識や技能を証明する資格日商簿記、CAD利用技術者試験経験と組み合わせて評価される

※資格の種類の例は、兵庫県「電気工事士とは」をもとに作成

電気工事士のように、資格がないと担当できない仕事につながる資格は、未経験の40代でも需要に直結します。一方で、知識や技能を証明する資格は、それだけで採用が決まるものではありません。前職の経験とセットで伝えることで、はじめて強みになります。

40代から取りやすく、仕事につながる資格の選び方は、次の記事でも解説しています。

関連記事:「40代からの人生やり直しは遅いのか?再出発の7ステップと資格の選び方」

(4)作業環境が自分に合うか

訓練の内容に興味があっても、修了後の職場の働き方が自分に合うとは限りません。内向的な人や組織に馴染みにくいと感じている人は、仕事内容よりも作業環境との相性で働きやすさが大きく変わります。

コースの見学会や説明会では、訓練の内容だけでなく、修了生がどのような職場でどのように働いているかを質問しましょう。

  • 一人で黙々と進める作業と、人と調整する作業の割合
  • 指示を出す人が決まっているか、関わる人の範囲はどのくらいか
  • 勤務形態(日勤のみか、夜勤・交替勤務・現場への移動があるか)

運営者の職業訓練体験記

運営者は、約6か月の求職者支援訓練でJavaプログラミングを学び始めましたが、3か月で受講をやめました。大阪市内で開発の仕事に携わりたいと考えていたものの、訓練校で紹介される求人はSES(技術者が取引先に常駐して開発に参加する働き方)が大半で、希望する仕事に就けるかはタイミングや本人の力量次第という印象だったためです。知識やスキルを身につけるだけでなく、修了後にどのような会社で働くかまで、受講前にイメージしておくべきだったと感じています。

組織に馴染めない性質を、直すべき欠点ではなく仕事に活かせる素質として捉え直したい場合は、次の記事で具体例とあわせて解説しています。

関連記事:「組織に馴染めない人に向いている仕事|特性を強みに変える選び方と消耗しない働き方」

4.職業訓練と民間スクールの違い|40代はどちらを選ぶべきか

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職業訓練は費用をかけずに学べる一方で、通い方や学べる内容は限られます。民間のスクールは有料ですが、在職中のまま夜間や土日、オンラインで学べる講座が多くあります。どちらが合うかは、今の働き方と学びたい内容で決まります。

項目職業訓練(ハロートレーニング)民間のスクール
費用原則無料(テキスト代などは自己負担)有料(講座によって異なる)
期間2か月〜2年(求職者支援訓練は2〜6か月)講座によって異なる
通い方平日の日中に通う形が中心夜間・土日・オンラインの講座が多い
在職中の受講離職者訓練は対象外。求職者支援訓練は収入などの要件を満たせば可可能
使える給付基本手当の延長、受講手当、職業訓練受講手当など教育訓練給付制度、リスキリング支援事業(いずれも対象講座のみ)
就職支援訓練校とハローワークによる支援講座によって異なる(転職支援付きの講座もある)

※スクールの費用・期間・就職支援の有無は講座によって異なる

※出典:神奈川労働局「ハロートレーニングとは」、ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度」、経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」

(1)職業訓練が合う人

離職中で平日の日中に通える人や、電気・溶接・機械加工のように設備を使って技能を身につけたい人は、職業訓練が向いています。受講料は原則無料で、条件を満たせば受講中も基本手当や職業訓練受講手当を受け取れるため、収入が途切れる期間の負担を抑えながら学べるのが最大の利点です。

一方で、訓練の開始日や時間割は決まっており、学ぶ内容を自分で選べる幅は大きくありません。修了後に想定される職場の働き方まで、見学会や説明会で確認してから申し込みましょう。

(2)民間のスクールが合う人

在職中で仕事を辞めずに学びたい人や、学びたい内容が職業訓練のカリキュラムにない人は、民間のスクールが選択肢になります。費用は自己負担ですが、厚生労働大臣が指定した講座であれば、教育訓練給付制度で受講費用の一部が支給されます。

種類基本の給付追加の給付
一般教育訓練受講費用の20%(上限10万円)なし
特定一般教育訓練受講費用の40%(上限20万円)資格取得・就職で50%(上限25万円)
専門実践教育訓練受講費用の50%(年間上限40万円)資格取得・就職で70%、さらに賃金5%以上上昇で80%(年間上限64万円)

※出典:ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度」

支給を受けるには、受講開始日時点で雇用保険の加入期間が3年以上あること(初めて受給する場合は、一般・特定一般は1年以上、専門実践は2年以上)などの要件があります。離職している場合は、離職日の翌日から受講開始日まで1年以内であることが条件です。

在職中に転職を目指して学ぶ場合は、経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」も使えます。対象講座を修了すると受講費用(税別)の1/2(上限40万円)が支給され、転職後1年の継続就業で1/5(上限16万円)が追加されます。すでに退職している人は対象外になるため、退職する前に登録しておく必要があります。

※出典:経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」

5.職業訓練を受けるまでの手順

※AI生成によるイメージ画像

職業訓練は、申し込んでからすぐに受講できるわけではありません。募集期間と選考日がコースごとに決まっているため、受講したい時期から逆算して早めに動くことが大切です。

(1)ハローワークで求職申込みと職業相談をする

まずは住所地を管轄するハローワークで求職の申込みをし、職業相談で訓練を受けたいことを伝えます。相談では、次の点を確認しておきましょう。

  • 希望する分野の、地域の求人の状況
  • 自分が公共職業訓練の受講指示や、求職者支援訓練の受講あっせんの対象になるか
  • 希望する分野のコースの開講時期と募集期間
  • 受講中に受け取れる給付金の見込み

(2)コースを探して見学会・説明会に参加する

コースの情報は、各ハローワークや都道府県のコース一覧で確認できます。たとえばポリテクセンター関西の6月入所のコースは、募集期間が3月24日〜4月21日、選考日が5月9日です。入所の2〜3か月前には募集が始まるため、受講したい時期が決まったら早めに一覧を確認しましょう。

見学会や説明会では、実習の内容や設備、修了生の主な就職先、通学にかかる時間と交通費を確認しておくと、入校後のミスマッチを防げます。

※出典:大阪ハローワーク「ポリテクセンター関西訓練コース一覧」

(3)選考(面接・筆記)に備える

職業訓練には、訓練実施機関による面接や筆記などの選考があります。応募が定員を超えると受講できないこともあります。不合格になっても、同じコースの次の募集や、別の地域・別の訓練実施機関のコースに応募し直せますが、その分だけ受講の開始が遅れるため、最初の選考から準備して臨みましょう。

面接で伝える志望動機は、「これまでの経験×訓練で学ぶこと×目指す就職先」の3点をつなげて組み立てます。

  • 例:工場で部品の検査を10年担当し、図面どおりに加工されているかを確認してきた。今後は加工する側に回りたいと考え、NC加工を学んで地元の部品メーカーへの就職を目指す

内向的で、面接で即答するのが苦手な人は、よく聞かれる質問への回答を事前に文章で書き、声に出して練習しておくと落ち着いて話せます。

運営者の選考体験記

運営者は職業訓練の試験を、岡山県と大阪府で2回受けました。岡山県の試験は高校生レベルの問題で、受講者をかなり絞り込む印象でした。結果は補欠で、空きが出れば入校できると聞いていましたが、連絡はありませんでした。2回目に受けた大阪府の訓練は、中学生レベルの学力テストと、図を使った論理的な問題でした。また、ハローワークでの相談では、休まず真面目に通えるかを強く確認されました。

※出典:厚生労働省「求職者支援制度のご案内」

(4)受講中から就職活動を並行する

公共職業訓練では、訓練期間中も就職活動を続けることが受講の前提とされています。修了してから求人を探し始めるのではなく、受講中から訓練校の就職支援とハローワークの職業相談を併用しましょう。

訓練校では、キャリアコンサルティングや求人紹介、応募書類の添削などを受けられる場合があります。訓練で作った作品や実習の記録は、応募書類や面接でスキルを示す材料として残しておくと役立ちます。

※出典:大阪ハローワーク「ポリテクセンター関西訓練コース一覧」

6.40代の職業訓練でよくある質問

(1)職歴に自信がなくても受講できますか?

ポリテクセンター関西の応募資格に挙げられているのは、積極的に就職活動をしていることや修了まで全日程を受講できることなどで、職歴の条件は含まれていません。

ただし、修了後の就職活動では職歴の説明が必要になります。

転職回数が多い場合は、会社ごとに並べるよりも、職種やスキルごとに経験をまとめると一貫した強みが伝わりやすくなります。経験の棚卸しの方法は、次の記事で解説しています。

関連記事:「何もしてこなかった40代男性が今から仕事と人生を立て直す方法」

(2)50代になってからでも受講できますか?

受講できます。50代では40代以上にこれまでの経験が重視されるため、経験とつながる分野から選ぶことがより重要になります。企業実習が付いたコースなど、年齢の目安を設けているコースもあるため、応募前に募集要項を確認しましょう。

(3)職業訓練を受けている間の生活費はどうなりますか?

雇用保険の基本手当を受給している人が、ハローワークの受講指示を受けて公共職業訓練を受ける場合は、訓練期間中に所定給付日数が終わっても、訓練が終わる日まで基本手当が支給されます。あわせて、次の手当も支給されます。

手当金額
受講手当日額500円(上限20,000円)
通所手当通所方法に応じて月額最高42,500円
寄宿手当月額10,700円(家族と別居して寄宿する場合)

※出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」

受講指示は、原則として基本手当の支給残日数が一定以上ある時点で行われます。受給が進んでからでは受講指示を受けられない場合があるため、離職したら早めにハローワークへ相談しましょう。

(4)雇用保険を受給できない場合に使える給付金はありますか?

求職者支援制度を利用して訓練を受ける場合、要件を満たせば職業訓練受講給付金を受け取れます。

項目内容
職業訓練受講手当月10万円
通所手当定期券代などの実費(月上限42,500円)
本人の収入月8万円以下
世帯全体の収入月30万円以下
世帯全体の金融資産300万円以下
出席訓練実施日のすべてに出席(やむを得ない理由がある場合でも8割以上)

※このほか、現住居以外に土地・建物を所有していないこと、過去6年以内に職業訓練受講給付金を受けていないことなどの要件がある

※出典:厚生労働省「求職者支援制度のご案内」

世帯全体の収入も要件に含まれるため、同居する家族に一定以上の収入がある場合は、給付金を受け取れないことがあります。給付金の要件を満たさなくても、訓練自体は無料で受講できます。運営者も、同居する家族の収入によって給付金の要件を満たさず、交通費も自己負担で受講しました。

(5)自己都合で退職した場合も、すぐに基本手当を受け取れますか?

自己都合で退職した場合は、7日間の待期期間のあとに、基本手当が支給されない給付制限の期間があります。退職日が2025年4月1日以降の場合、給付制限は原則1か月です。

さらに、2025年4月以降にリ・スキリングのために教育訓練などを受けた場合は、給付制限が解除され、基本手当を受け取れるようになりました。解除を申し出るには、訓練実施施設による訓練開始日の証明書が必要です。

※出典:厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」

7.まとめ

40代でも、職業訓練は再就職の手段として十分に使えます。施設内訓練の就職率は8割台で推移しており、電気・溶接・機械加工・介護のように、目指す職種の有効求人倍率が2倍を超える分野もあります。

一方で、訓練で身につけたスキルだけでは、40代の採用で評価されにくいのも事実です。だからこそ、前職の経験とつながるか、地域に求人があるか、資格が仕事に直結するか、作業環境が自分に合うかを確かめたうえで、コースを選ぶことが大切です。

明日からできる一歩として、次の3つのうち1つから始めてみてください。

  • これまでの経験を書き出し、つながる分野を2つ選ぶ
  • 候補の分野の地域求人を、ハローワークインターネットサービスで10件読む
  • ハローワークの職業相談を予約する

候補の分野が2つに絞れていれば、ハローワークでの相談は「何を学べばいいか」から「どのコースに応募するか」に変わります。

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