「40代で人生をやり直したい」と感じても、何から始めればよいのか分からず、不安を抱える人もいるでしょう。40代からの再出発では、これまでの経験を整理し、生活の土台を整えたうえで、自分に合う方法を順序立てて選ぶことが大切です。

本記事では、人生を立て直す7つのステップに加え、女性・男性・離婚後・40代後半など状況別の進め方や、仕事につなげるために検討できる資格について解説します。

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1.40代で「人生やり直したい」と感じるのは自然なこと|4つの理由

※AI生成によるイメージ画像

40代になると、これまでの歩みを振り返る機会が増え、「このままでよいのか」「別の生き方を選べなかったか」と考えることがあります。ポジティブに考えるなら人生をやり直したいという気持ちは、現在の状況を見直すきっかけになります。
ここでは、なぜそう感じるのかを整理し、自分の不安や違和感の背景を確認していきます。

(1)同世代やSNSとの比較で遅れを感じている

40代になると、同世代の昇進や収入、家庭、暮らしぶりなどが目に入り、自分だけが遅れているように感じることがあります。特にSNSでは、他人の成果や充実した場面が目につきやすく、それを自分の日常全体と比べると、現状を実際以上に否定的に捉えやすくなります。
また、「自分はうまくいっていない」という意識が強いほど、それを裏づける情報ばかりに注目する場合もあります。

(2)思い描いていた40代と現実にギャップがある

20代や30代の頃に「40代になれば仕事も生活も落ち着いているはず」と考えていても、実際には収入やキャリア、人間関係、暮らしなどが思い描いた状態に届いていないことがあります。理想としていた将来像と現在との差が大きいほど、「このままでよいのか」「もう一度やり直したい」という気持ちにつながります。

(3)社会が示す「人生の正解」から外れたと感じている

「40代なら一定の収入や役職がある」「結婚して家庭を築いている」といった人生像を基準にすると、そこから外れた自分に焦りや不安を感じることがあります。周囲が示す基準と自分が望む暮らしを混同すると、本来変える必要のない部分まで否定してしまいます。

(4)仕事や家庭の役割を優先して自分を見失っている

40代まで仕事や家事、育児、家族の事情を優先してきた結果、「自分が本当は何をしたいのかわからない」と感じることがあります。長く周囲の期待や役割に応え続けていると、自分の希望を考える機会が少なくなり、「何もしてこなかった」と捉えてしまう場合もあります。

2.今すぐ生活を立て直す必要がある場合の相談先

失業や離婚、借金、心身の不調などが重なり、家賃や生活費の支払いが難しい、あるいは働ける状態にないという場合は、ここまでお伝えした前提そのものが異なります。

生活の見通しが立たない状態では、生活を維持するための支援につながることが重要です。

以下の窓口は、いずれも相談だけで費用はかかりません。

今の状況相談先相談できる内容
家賃や生活費の支払いが難しい自立相談支援機関(生活困窮者自立支援制度の窓口。市区町村または社会福祉協議会に設置)家計の立て直し、住居確保給付金、就労支援などの案内
借金の返済が滞っている法テラス、日本クレジットカウンセリング協会債務整理の方法、収入などの要件を満たす場合は無料法律相談
心身の不調で働ける状態にないお住まいの保健所・保健センター、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)医療機関の案内、休養が必要な期間の生活の組み立て方
仕事を探したいが条件が合わないハローワーク求職相談、職業訓練、雇用保険の手続き
何をどこに相談すべきか分からないよりそいホットライン(0120-279-338/24時間・通話料無料)内容を問わず相談を受け付け、必要な窓口へ引き継ぎ

どこに連絡すべきか判断がつかない場合は、よりそいホットラインから始めれば、内容に応じて必要な窓口へつながります。

また、自立相談支援機関は関係する窓口へつなぐ役割も担っているため、まずここに現状を伝えるところから始めると、順序を組み立てやすくなります。

3.40代からでも人生をやり直せる根拠と再出発の条件

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40代から人生をやり直したいと思っても、「今からでは遅いのではないか」と不安を感じることがあります。しかし、再出発の可能性は年齢だけで決まるものではありません。

ここでは、40代からでも人生を組み直せる根拠を確認したうえで、自分が再出発するために必要な条件を整理します。

(1)データで見る「40代はまだ折り返し地点」

厚生労働省の「令和7年簡易生命表」(2026年7月24日公表)によると、40歳時点の平均余命、つまり人生の残り時間と考えられる時間は男性42.29年、女性48.05年です。45歳でも男性37.52年、女性43.20年が残っており、40代以降にも長い期間があることがわかります。

一方、厚生労働省「令和6年雇用動向調査」では、40代でも転職入職が確認されています。

年齢階級男性女性
35〜39歳7.9%10.5%
40〜44歳6.8%10.2%
45〜49歳6.0%10.7%
50〜54歳5.1%8.2%

出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概要」

これらの数値から、40代は残された時間が短く、働き方を変えられない年代とはいえません。年齢だけで「もう遅い」と判断するのではなく、今後使える時間と現在の生活条件をもとに再出発を考えることができます。

(2)ゼロではなく「経験を持ったスタート」である

40代から人生をやり直す場合でも、実際には完全なゼロから始めるわけではありません。これまでの仕事や家事、人間関係、学習などを通じて、知識や判断力、継続力、対人経験などを積み重ねています。
まずは「続けてきた仕事」「任されてきた役割」「身につけた知識や技術」「困難を乗り越えた経験」を書き出してみましょう。
過去を実績の有無だけで評価せず、これから活かせる経験として整理することで、再出発の土台が見えやすくなります。

(3)時間・お金・体力から「再出発の条件」を確認するチェックリスト

人生をやり直す方法を決める前に、現在の生活でどこまで行動できるのかを確認します。希望だけで計画を立てるのではなく、実際に使える資源を整理することで、無理のない再出発の方法を選びやすくなります。

確認項目棚卸しする内容
時間1日・1週間で学習や転職活動に使える時間
お金毎月の生活費、貯蓄、学習などに使える費用
体力無理なく続けられる勤務時間・活動量
条件今すぐ始められること、事前準備が必要なこと

棚卸しができたら、希望する働き方や学び直しの方法と照らし合わせます。すぐに実行できない場合も、何が不足しているのかを把握すれば、先に確保すべき時間や費用などが明確になります。

現在の条件を基準に、実行できるところから再出発の計画を組み立てましょう。 

40代_再出発_棚卸しチェックシート

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1XPRJ4aGqXua5QgY-o06AMKKEL7F4CuNraVXzIandpbU/edit?usp=sharing

4.40歳・完全ゼロから人生を再出発する7ステップ

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人生をやり直したいと思っても、何から手をつけるべきか分からなければ行動に移しにくくなります。再出発では、一度にすべてを変えようとせず、現在地を整理しながら順序立てて進めることが重要です。

ここからは、40歳から人生を立て直すための流れを7つのステップに分けて確認していきます。

(1)変えたい領域を1つに絞る(仕事/収入/人間関係/生活環境)

人生をやり直したいと考えたときに、仕事や収入、人間関係などを一度に変えようとすると、行動の優先順位が曖昧になります。

まずは現在抱えている不満や不安を書き出し、最初に取り組む領域を1つに絞ります。

領域変えたいことの例
仕事転職する、仕事内容を変える
収入収入源を増やす、働き方を見直す
人間関係付き合う相手や距離感を見直す
生活環境住む場所や生活スタイルを変える

選ぶ際は、「今の生活への影響が大きいもの」「先に変えることでほかの問題にも取り組みやすくなるもの」を基準にします。対象を具体化すれば、次に何を調べどのような行動を取るのかを決めやすくなります。 

(2)経験から逆算して強みを設定する

職歴だけでなく、家事や育児、地域活動、趣味、資格取得なども対象にし、「何をしてきたか」「何を任されてきたか」「どのような場面で力を発揮したか」を書き出しましょう。その中から、今後目指す仕事や生活に結びつくものを選びます。

経験をそのまま並べるのではなく、調整力、継続力、専門知識、対人対応など、別の場面でも使える形に言い換えると、次の選択肢を考えやすくなります。

(3)譲れない条件を決めて優先順位を決める

再出発では、希望する条件をすべて同時に満たせるとは限りません。そこで、仕事や生活に求める条件を書き出し、「譲れない条件」と「できれば満たしたい条件」に分けて優先順位をつけます。

条件整理する内容の例
収入最低限必要な月収・年収
勤務時間残業時間、勤務日数、勤務時間帯
勤務地通勤時間、転勤の可否
仕事内容経験を活かせるか、希望する職種か
休日必要な休日数、曜日
人間関係働く人数、業務上の関わり方

優先順位を決めるときは、生活を維持するために欠かせない条件から整理します。そのうえで、複数の選択肢を比較する際に同じ基準を使えば、希望の多さではなく、自分が重視する条件に沿って判断できます。 

(5)目標を月単位・週単位の行動に分解する

目標を決めたら、達成までに必要な行動を月単位・週単位に分けます。「転職する」「資格を取る」といった大きな目標だけでは、日々の行動に結びつけにくいためです。

期間転職を目指す場合の行動例
1か月目求人情報を集め、応募書類を作成する
2か月目応募を進める
3か月目面接を受ける
今週求人を5件確認する

月ごとの到達点を決めたうえで、さらに今週取り組む行動まで具体化します。実行後は予定どおり進んだかを確認し、遅れがあれば翌週以降の行動量や期限を調整します。
目標を小さな単位に分けることで、現在どこまで進んでいるのかを把握しながら次の行動を決められます。 

(6)副業・短期講座・職業体験で小さく試す

進みたい方向が決まっても、すぐに転職や独立へ踏み切る必要はありません。まずは現在の生活を大きく変えずに試せる方法を選び、自分との相性や必要な準備を確認します。

方法確認できること
副業実際の仕事内容、収入につながる可能性
短期講座分野への興味、必要な知識や技能
職業体験業務内容、職場環境との相性

実際に取り組んだ後は、続けたいと思えるか、生活と両立できるか、さらに学ぶ必要があるかを整理します。小さく試してから進路を絞ることで、大きな決断をする前に自分に合う方向を見極められます。 

(7)振り返って計画を修正する

行動を始めたら、一定期間ごとに進み方を振り返ります。計画どおりに続かなかった場合も、意志の弱さと決めつけるのではなく、目標の大きさや使える時間、費用、生活との両立などに無理がなかったかを確認しましょう。
「できたこと」「できなかったこと」「その理由」を整理し、必要に応じて目標や行動量を調整します。最初に立てた計画を守り続けることよりも、実際の状況に合わせて修正を重ねながら、無理なく続けられる形に整えていくことが再出発につながります。

5.状況別・40代の人生のやり直し方

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40代から人生をやり直すといっても、現在の立場や生活環境によって優先すべきことは異なります。年齢だけで方法を一括りにせず、自分の状況に合った進め方を選ぶことが大切です。

ここでは、それぞれの立場に応じて、再出発を考える際の方向性を整理していきます。

(1)40代女性|役割の整理から働き方の選択へ

40代女性の場合は、これまでの仕事や家事、育児などを振り返り、今後どのような働き方をしたいのかを整理します。

資格取得を検討するときは、次のような候補があります。

資格学習期間の目安費用の目安活かせる仕事
医療事務(民間資格)3〜6か月数万円〜クリニック・病院の受付、レセプト業務
登録販売者3〜6か月数万円〜ドラッグストア、薬局、量販店
介護職員初任者研修1〜4か月(130時間)数万円〜十数万円訪問介護、施設介護
保育士6か月〜1年半数万円〜数十万円保育所、認定こども園、企業内保育
日商簿記3級→2級3級2〜3か月/2級+4〜6か月2〜8万円経理、会計事務所、一般事務
FP3級→2級各2〜4か月2〜6万円金融機関、保険、住宅関連
宅地建物取引士6か月〜1年(300時間目安)3〜10万円不動産仲介、賃貸管理

※学習期間・費用の目安は、以下の情報を参照しています。(2026年8月確認)
参照:医療事務「https://www.jme.or.jp/exam/」

参照:登録販売者「https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082514.html」

参照:介護職員初任者研修「https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000054119.html」

参照:保育士「https://www.hoyokyo.or.jp/exam/」

参照:日商簿記「https://www.kentei.ne.jp/」

参照:FP「https://www.jafp.or.jp/exam/」

参照:宅地建物取引士「https://www.retio.or.jp/exam/」

選ぶ際は、取得後にどのような仕事へ活かせるのかまで確認し、希望する収入や勤務時間などと照らし合わせます。資格を取ること自体を目的にせず、その後の働き方まで含めて判断することが再出発につながります。

(2)40代主婦|家庭と両立しながら再出発の準備をする

40代主婦の場合は、家事や育児など現在の生活を続けながら、今後どのような働き方や暮らし方を目指したいのかを整理します。これまで仕事から離れていた期間がある場合も、家事や育児、地域活動などで担ってきた役割を振り返り、今後に活かせる経験と位置づけます。

まずは、勤務時間や勤務地、収入などの条件は、「譲れない条件」と「できれば満たしたい条件」に分けて優先順位をつけます。

確認項目整理する内容具体例
時間仕事や学習に使える時間1日・1週間で確保できる時間を確認する
費用学習や資格取得に使える費用毎月の生活費と学習に使える金額を分ける
勤務時間無理なく働ける時間帯・日数勤務日数や勤務時間帯を整理する
勤務地通勤できる範囲通勤時間や勤務地の条件を決める
仕事内容これまでの経験を活かせる仕事家事・育児・地域活動なども含めて経験を棚卸しする
収入生活上必要な収入最低限必要な月収・年収を整理する

すぐに大きく環境を変えるのではなく、短期講座など現在の生活を大きく変えずに試せる方法から始め、自分との相性や生活との両立が可能かを確認しながら再出発の方向を絞りましょう。

(3)40代男性|肩書きを外して経験を転用する

40代男性の場合は、これまでの仕事で得た経験や知識を整理します。資格取得を検討するときは、次のような候補があります。

資格学習期間の目安費用の目安活かせる仕事
第二種電気工事士3〜6か月数万円〜(工具・練習材料込み)電気工事、ビル設備管理、リフォーム
危険物取扱者 乙種第4類1〜3か月数万円〜 ガソリンスタンド、化学・製造、タンクローリー
フォークリフト運転技能講習(申込先はお住まいの都道府県で確認)2〜5日数万円〜 物流倉庫、製造、建設
宅地建物取引士6か月〜1年(300時間目安)数万円〜十数万円 不動産仲介、賃貸管理、金融
基本情報技術者3〜6か月数万円〜十数万円 社内SE、IT運用・保守、業務システム
社会保険労務士1〜2年(800〜1,000時間)数万円〜十数万円 社労士事務所、企業の人事・労務、独立

※学習期間・費用の目安は、以下の情報を参照しています。(2026年8月確認)

参照:第二種電気工事士「https://www.shiken.or.jp/construction/second/」

参照:危険物取扱者 乙種第4類「https://www.shoubo-shiken.or.jp/kikenbutsu/」

参照:宅地建物取引士「https://www.retio.or.jp/exam/」

参照:基本情報技術者「https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/fe.html」

参照:社会保険労務士「https://www.sharosi-siken.or.jp/」 


資格を比較するときは、取得後にどのような仕事へ活かせるかを確認し、これまでの経験との接点を整理します。過去の経験と新たな知識・資格を組み合わせ、次の仕事につながる選択肢を検討します。 

(4)離婚後の40代|生活基盤を最優先に組み直す

離婚した場合は、転職や資格取得を急ぐ前に、当面の生活を維持できる状態をめざします。まずは住居や収入、保険など、生活基盤に関わる項目を整理します。

制度内容窓口
児童扶養手当2026年(令和8年)4月分から、子ども1人の全額支給で月額48,050円。2人目以降は1人につき11,350円加算。所得に応じた一部支給あり市区町村
高等職業訓練促進給付金6か月以上の養成機関で資格取得を目指す間、月額10万円(住民税課税世帯は70,500円)。修業最終年は月4万円増額。修了時に5万円市区町村
自立支援教育訓練給付金指定の講座を受講した場合に受講料の一部を支給市区町村
医療費助成・JR通勤定期の割引 ほか児童扶養手当の受給を起点に利用できる支援が複数あります市区町村

※制度内容・支給額は、以下の情報を参照しています。(2026年8月確認)
参照:児童扶養手当「https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/fuyou-teate/」

参照:高等職業訓練促進給付金「https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/syokugyou-kunren/」

参照:自立支援教育訓練給付金「https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/jiritsu-shien-kyuufukin/」

参照:ひとり親家庭等の支援「https://support-hitorioya.cfa.go.jp/」

子どもがいる場合は、児童扶養手当などの利用可否も確認します。支援制度には対象要件があるため、厚生労働省や居住する自治体の情報を確認したうえで判断します。

当面の生活を維持できる見通しを立ててから、転職や学び直しなど次の行動を計画します。

(5)40代後半|年齢ではなく「経験×健康×残り時間」で設計する

40代後半の場合は、これまでの経験、現在の健康状態、今後使える時間を組み合わせたキャリアを考えます。新しい分野に進む場合も、すべてを一から学び直すのではなく、これまでの仕事や生活で得た知識や技能を活かせる方向を探します。

また、働き方や学習計画は、体力や生活時間に無理がない範囲で設計します。残された時間を意識しながら、長期的に続けられる選択肢へ絞り込むことが再出発の方向性になります。

6.【具体例あり】40代から人生が好転する人の5つの特徴

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40代から人生を立て直す際は、環境を変えることだけでなく、物事の捉え方や行動の進め方も影響します。大きな変化を一度に求めるのではなく、自分の状況を確認しながら行動を続けることが再出発につながります。

ここでは、人生を好転させるための考え方や行動の特徴を5つに分けて解説します。

(1)他人との比較でなく「過去の自分」と比較する

人生を立て直す過程では、他人の収入や役職、暮らしぶりを基準にするのではなく、過去の自分と比べて変化を確認します。周囲との比較では、自分ではコントロールできない条件まで判断材料に含まれてしまいます。

一方、「以前より行動できたか」「新しい知識が増えたか」「生活が少し整ったか」といった自分自身の変化であれば、進捗を具体的に確認できます。小さな変化を積み重ねながら、現在地と次に取る行動を判断することが再出発につながります。

例えば、Apple共同創業者のスティーブ・ジョブズは、自ら立ち上げた会社を追われるという挫折を経験しています。しかし後年、スタンフォード大学の卒業式講演で、成功者としての重圧が手放されたことにより、人生で最も創造的な時期に入る自由を得たと語りました。実際にジョブズは、過去の成功や地位に留まらず、NeXTやピクサーという新たな挑戦に取り組んでいます。 

このように、周囲の評価や過去の成果に固執せず「今の自分」にできる変化へと意識を向けることが、人生を好転させる着実な第一歩となります。

参考:スタンフォード大学「Steve Jobs’ 2005 Stanford Commencement Address」

(2)完璧な計画より小さな行動を優先する

人生をやり直すときは、最初から完璧な計画を作るよりも、実行できる小さな行動を積み重ねます。情報収集に時間をかけすぎると、準備だけが続き、実際の行動に移せない場合があります。

たとえば、求人を1件見る、講座を1つ調べる、家計を見直すなど、すぐに取り組めることから始めます。行動した結果をもとに次の選択を決めれば、計画も現実に合わせて修正できます。最初から正解を求めず、動きながら方向を確かめることが再出発につながります。

例えば、日清食品の創業者・安藤百福は、事業に失敗して財産の大半を失った後、自宅の裏庭に建てた小屋で、たった一人でインスタントラーメンの研究を始めました。道具も材料もすべて自分で探し集めるところからのスタートでした。麺を乾燥させる方法の手がかりになったのも、妻が台所で天ぷらを揚げている様子でした。「チキンラーメン」が発売されたのは、48歳のときです。 

このように、設備や資金、十分な計画が整うのを待つのではなく、いま手元にあるもので試せることから動き出す姿勢が、次の一手を見つけることにつながります。

参考:日清食品グループ「安藤百福クロニクル」

(3)やめること・手放すことを先に決める

新しいことを始める前に、今の生活から何をやめるか、何を手放すかを決めます。時間やお金、体力には限りがあるため、予定を増やすだけでは新しい行動を続けにくくなります。

惰性で続けている習慣や不要な支出、負担になっている付き合いなどを見直し、再出発に使える余白をつくります。何かを加えることだけでなく、続ける必要のないものを減らすことで、優先したい行動に時間や労力を振り向けやすくなります。

例えば、日本で初めて実測による全国地図を作成した伊能忠敬は、17歳で家業を継いでから30年余り、その繁栄に努めた人物です。しかし49歳で隠居し、学業の志を実現するため、幕府の天文学者に弟子入りしました。江戸に出て天文学を本格的に学び直したのは、家督を息子に譲った後のことでした。全国測量の旅に出たのは、そこからさらに数年後の55歳からです。 

このように、新しいことに使う時間を確保するには、先に何を続けないかを決める必要があります。手放す順番を決めることが、次の行動を始める余地をつくります。

参考:香取市「伊能忠敬とは」

(4)相談先・つながりを複数持っている(孤立しない)

人生を立て直す過程では、悩みや判断を一人だけで抱え込まず、相談できる相手や窓口を複数持っておきます。家族や友人だけでなく、仕事についてはハローワーク、生活面では自治体の相談窓口など、内容に応じて相談先を分ける方法があります。

一つの相手だけに頼るのではなく、目的ごとに異なるつながりを持つことで、必要な情報や支援を確認しやすくなります。自分だけで結論を出さず、外部の意見も取り入れながら次の行動を決めることが再出発につながります。

例えば、ホンダの創業者・本田宗一郎が、後に経営を担う藤澤武夫と出会ったのは1949年8月、本田が42歳のときでした。二人は性格も得意分野もまったく違いましたが、意気投合した理由について、互いに自分が持っていないものを相手が持っていたからだと語っています。以後、本田は技術者に徹し、経営の全権は藤澤が担う体制がつくられました。 

このように、自分ひとりですべてを背負わず、足りない部分を補える相手や窓口を持つことが、判断の負担を減らし、行動を続けやすくします。

参考:Honda「語り継ぎたいこと 〜チャレンジの50年〜 本田宗一郎と藤澤武夫、意気投合する」

(5)失敗を「情報」として扱い、軌道修正する

再出発の途中で思うような結果が出なかったときは、失敗そのものを結論にせず、次の判断材料として扱います。応募しても採用されなかった、学習が続かなかった、副業が想定どおり進まなかった場合は、原因を分けて確認します。

目標が高すぎたのか、方法が合わなかったのか、時間や体力に無理があったのかを整理し、必要な部分だけ修正します。うまくいかなかった結果から条件や方法を見直し、次の行動に反映することが軌道修正につながります。

例えば、サイクロン式掃除機を開発したジェームズ・ダイソンは、紙パックの目詰まりが吸引力低下の原因だと突き止めたうえで、5,000台を超える試作を重ねました。その間は資金も尽き、妻の収入で家計を支えた時期もありました。サイクロン技術に着目してから自社工場を構えるまでには15年を要し、自社ブランドの掃除機「DC01」を発売したのは46歳のときでした。 

このように、うまくいかなかった結果を「向いていなかった証拠」ではなく、次に何を変えるかを決めるための情報として扱えるかどうかが、軌道修正の分かれ目になります。

参考:ダイソン「インベンション 僕は未来を創意する 第6章 DC01の誕生」

7.まとめ

40代で人生をやり直したいと感じたときは、年齢だけで「もう遅い」と判断せず、これまでの経験や現在の生活条件を整理することが出発点です。仕事・収入・人間関係など変えたい領域を絞り、生活基盤を整えたうえで、小さな行動から始めます。

資格取得や転職を検討する場合も、自分の経験や希望する働き方との相性を確認しましょう。計画どおりに進まないときは、その結果を判断材料として見直し、自分の状況に合わせて軌道修正を続けることが再出発につながります。

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